■野手陣はどうか

 続いて、野手陣を見ていこう。投手の女房役となる捕手は、選出が難しかった。スポーツ紙記者の間では、日本シリーズでも強肩ぶりを発揮した“甲斐キャノン”ことSBの甲斐卓也(28)を推す声が多い。

「捕手は盗塁を刺すため、二塁へ送球しますが、NPBの平均送球タイムは約1.96秒。ただ、甲斐は最高1.4秒台を記録したこともある“鉄砲肩”です。さらに、大きく変化する千賀のフォークや石川のパワーカーブを後逸せずに捕球するフットワークのうまさもある」(前出のデスク)

 しかし、捕手出身で野球解説者の里崎智也氏は、ベストナイン捕手に巨人の大城卓三(27)を挙げる。

「キャッチャーに関しては、唯一規定打席に到達している森友哉(25=西武)が、昨季ほどの成績ではなかったこともあり、選ぶのは難しい。だから僕は、それなりの打率を残していて、チームの優勝にも貢献したという点を評価し、巨人の大城を選びます」

 大砲がひしめく一塁手は、ヤクルトで一人、気を吐いた村上宗隆(20)を推す声が多かった。

「課題だった打率も3割に乗せ、最高出塁率のタイトルも取った。チーム事情から三塁も守りますが、来季以降は一塁に固定したほうがいいでしょう」(スポーツ紙ヤクルト担当記者)

 二塁手は広島の菊池涼介(30)が、エラーなしでシーズンを終え、史上初の“守備率10割”を達成したが、打力はいまひとつ。

「パ・リーグのホームラン王に輝いた楽天の浅村栄斗(30)でしょう。打点も2位につけ、序盤の楽天の快進撃を支えました」(前出のパ・リーグ担当記者)

 三塁手は巨人の“新・若大将”こと岡本和真(24)で決まりだろう。

「ホームランと打点の二冠王を獲得。“日替わりオーダー”でシーズンを戦った巨人で、岡本だけは“不動の4番”でした。打力はもちろん、正確なスローイングも光った」(スポーツ紙巨人担当記者)

 遊撃手は目立った対抗馬がいないこともあり、巨人の坂本勇人(31)で決まり。

「史上2人目の若さで2000本安打を達成。最も過酷とされるショートの守備をこなしながら、打率.289、19本塁打はさすがです。彼は右投げ右打ちですが、私生活では左利き。サインも左手で書きます。天才的なバット捌きの秘密は、ここにあるのかも」(前同)

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