https://www.youtube.com/watch?v=OfQtiYbIL_k
(※斉藤優里個人PV「斉ボーグ優里」予告編)

 身体の一部が武器化して敵と戦うという筋立ては、各種の創作でしばしば見られる、定番の類型の一つである。またそうした創作物につきものの、未知の外敵らしき存在も作中では示唆される。

 しかし一方、アルバイト先の店長に片思いする斉藤にとって最大の敵は、同じく店長に思いを寄せるバイト仲間であり、サイボーグとしての特性を賭けた戦いも、とりたてて世界の行く末に直結するわけでもない、バイト仲間とのいさかいにのみ発揮される。

 そしてまた、同作はSFバトルものではありつつも、すべては斉藤の片思い相手への気持ちに連動して生じる、空想の産物としての解釈の余地を残している。彼女の気持ちが最大にかき乱されて生じるラストも、あくまで日常を生きる斉藤の心象風景なのかもしれない。

 いずれにせよ、クライマックスのバトルを描いた映像のクオリティと大仰さは、爽快な驚きと可笑しみをもたらしてくれる。形式上はCDシングル特典、それもそのうちのごく一部でしかないはずのコンテンツに、この異様な充実度が見出だせるのは、まさに個人PVという企画の醍醐味である。

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