もちろん、素朴な存在として描かれる高校生たちに、そうした大掛かりな技術も予算もあるわけはなく、劇中劇のリッチな画面は、あくまで主観あるいは願望の投影である。

 あらかじめすべては空想の産物に過ぎないことが示されてはいるが、いかに拙い高校生の習作であろうとも、作り手たちの主観や妄想がどれほどに無垢で気恥ずかしい楽しさに満ちているか。その初期衝動こそをテーマにした青春ドラマとして、「ばけねこのななせ」はある。

 もっとも、このドラマでそもそも一番SF的な、「生まれつき猫耳が生えている」「猫と会話ができる」という西野の設定は、登場人物たちにあらためて問われることもなく、どこまでもごく日常的な風景のうちに溶け込まされている。このバランスもやはり、荒船作品的といえよう。

乃木坂46「個人PVという実験場」

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