秋元真夏桜井玲香中田花奈若月佑美のユニット曲『告白の順番』のMVは、解散が決まっている劇団員たちが最終公演に臨むまでのドラマとして仕立てられている。劇団最終公演の準備期間中、劇団メンバーである若月はアクシデントで記憶を失う。

 劇団活動に対して最も前のめりだった若月を襲った緊急事態に、秋元ら他の劇団員は若月をサポートしながら最後の公演を実現させるべく奮闘する――。

 VFXを用いたスペクタクルは荒船作品に頻出する特性だが、このMVでは個人PVにみられるような明快な派手さは採用されていない。

 むしろ本作ではそうした視覚効果は静かに、ストーリーを補助する際に登場する。若月の記憶から台本の台詞が消え、そしてまた彼女の頭に再度インストールされる様子を示したカットなどはその代表といえる。

『告白の順番』MVに特徴的なのは、メンバーが持つハンディカメラに収録されたカジュアルなカットや、その映像をプロジェクターで大きく投影してパフォーマンスの背景に用いるなど、映像の粗さやアスペクト比等も複数の水準にまたがりながら展開される、「記憶」の表現である。

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