この致し方ないリアクションはしかし、中田にとっては恋する相手から明確に「拒絶」される瞬間であった。哀しいめぐり合わせを描いた「HATSUKOI」は、初期のドラマ型個人PVのなかでも異質な空気感をまとい、どこか静謐さを漂わす作品である。

■中田花奈の「私はピアノ。」

 中田がドラマ型の個人PVのなかで、人間ならざるものを演じたのは「HATSUKOI」のときだけではなかった。2014年、9枚目シングル『夏のFree&Easy』で制作された個人PV「私はピアノ。」(監督:ナカバヤシジュン)でもやはり、彼女は人間を慕う無機物の擬人化を担っている。

https://www.youtube.com/watch?v=N8doCsSTNjA
(※中田花奈個人PV「私はピアノ。」予告編)

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