■カジノに興じる選手たちの中で!

 “闘将”星野仙一監督が率いた時代の中日は、温暖なオーストラリアのゴールドコーストでキャンプを張っていた。同所は観光地であるため、当地にはギャンブル施設が充実していたのだが、「選手たちの休日の息抜きは、もっぱらカジノ。多くの選手がカジノに興じる中、人一倍熱くなっていたのが、宇野勝でしたね(笑)」(球団関係者)

 手持ちの資金が尽きた宇野は、「同僚に“いくらか貸してくれ”と借金し、負けを取り戻すのに躍起になっていた」(前同)とか。

 宇野氏に限らず、当時の中日はギャンブル好きな選手が多く、「V旅行はラスベガス。アメリカのアリゾナでキャンプしたときも、中村武志や今中慎二がドッグレースを見つけてきて、選手で繰り出していました(笑)」(同)

 今季の新庄監督ではないが、報道陣にキャンプで徹底マークされたのが、落合博満氏だ。

「82年にロッテから世紀のトレードで中日に移籍。三冠王を3度獲得している超大物だけに、中日がキャンプを張る沖縄県具志川市(現・うるま市)には、マスコミはもちろん、セ・リーグ各球団の偵察部隊も押しかけました」(スポーツ紙記者OB)

 ところが、世の喧騒をよそに落合氏はスロー調整。

「午前中は軽いジョギングなどで汗を流し、午後はプールでクールダウン。バットに触ろうともしない。星野監督に“打撃開始のXデー”と聞くと、“任せてある”と、うそぶいていましたが、内心は“オレ流調整”にイライラしていたはずです」(前同)

 2月11日にはティーバッティングを行ったが、本格的な打撃練習はまたしてもお預け。報道陣との“追いかけっこ”が続いた。

「キャンプが途中で宮崎県の串間市に移ると、ようやく落合の打撃練習が始まったんです。キャンプ開始から、実に半月以上経過していました」(同)

 ところがだ。

「100人近い報道陣を締め出して室内練習場に入り、マシンを使って極秘の打撃練習。取材できなかったんです」(同)

 19日になると、ついに落合の真骨頂とも言われる“正面打法”の特訓に入った。正面打法とは、ベース上に立ち、マシンが繰り出す球を左右にバットで払いのける“神業”だという。

「報道陣はおろか、同僚や指導陣でも現場を見た人はわずか。ロッテ時代に、山内一弘監督から伝授された特訓だとか」(同)

 練習に立ち会った星野監督は後日、「噂には聞いていたが……あれはマネできん」と絶句したという。

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