■イチローに仕掛けた野村克也監督を想起
そんな初戦の重要性で想起されるのが、1995年。まだブルーウェーブだったオリックスのイチローを相手に、ヤクルト野村監督が仕掛けたインコース攻めを予告するという“心理戦”だ。
「一流の選手だからこその洞察力。そこを野村さんは突いたわけです。本人にそのつもりはなくとも、“弱点のインコースを攻める”と文字や言葉で見聞きすれば、否いやが応でも意識には残る。
先発のブロスに“右肩痛”のブラフを流したことも含め、あれは完全に戦略勝ちでした」(前同)
■端緒となった“金本知憲封じ”
一方の岡田監督も18年前、2005年のリーグ優勝時には、ボビー・バレンタイン監督率いるロッテを相手に、トータルスコア“33対4”で4戦全敗とトラウマ級の敗北を喫している。
その端緒となったのが、全投手に徹底されたキーマン“金本知憲封じ”だ。
「マスクを被った里崎智也は“金本にだけは全打席、初球はインサイドを突けと監督の指示があった”と、各所で語っています。必要以上に主砲が内を意識したことで、終始、ロッテのペースで試合が進みました」(スポーツジャーナリスト)
■やられたらやり返す!
しかし、そこは名将岡田。今年の日本シリーズで、やられたことをやり返した。
「キーマンの一人だった森友哉(28)に“仕事”をさせなかった。あの苦い経験から得た岡田監督の“学び”が生かされていたような気がします」(前同)
そして、甲子園に舞台を移した第4戦では、故障離脱後、シーズン中は一度も出番のなかった湯浅京己(24)を、2死一、三塁から登板させる不敵な采配。