具志堅用高、畑山隆則、亀田興毅がランキング
ここからは、具志堅用高氏、畑山隆則氏、亀田興毅氏の3人のレジェンド王者に、99人の歴代日本人チャンピオンの『パウンド・フォー・パウンド(全階級を通じたランキング)』を聞き、本誌独自のランキングを作成したい。
まず5位にランクインしたのが、“ノックアウト・ダイナマイト”の異名を持つ内山高志。
「豊富なアマチュア時代の経験に裏打ちされた試合運びの巧さと、破壊的な強打が魅力のボクサー。
層が厚く、難しいとされる中量級を渡り歩いた点でも、日本人では、右に並ぶ人はそういないですね」(スポーツ紙ボクシング担当記者)
これには畑山氏も同じ意見で、
「私も中量級でしたけど、スピード感と重厚感を両立している階級。その中で、11回も防衛できたのも、単純にすごいですよ」
続いて4位には、世界王者在位中の23歳時に交通事故で、この世を去った“永遠の王者”大場政夫がランクイン。
「印象的なのは、試合中にダウンを喫し、足首を捻挫しながらも12回に怒ど涛とうのラッシュを浴びせた5度目の防衛戦ですね。俺より強いやつはいない、という負けん気の強さが特に表れた試合でした」(前出のボクシング担当記者)
終盤での逆転劇がお家芸だった彼は、まさにスーパースターだったと具志堅氏は言う。
「あんなにボクサーらしい選手は、もう出てこないよ。大場さんはスター性があって、超かっこよかったね」
亀田氏も、こう絶賛する。
「世界チャンピオンの中でも、際立ってファンを魅了していた素晴らしい方。大場さんは不屈の闘志で立ち上がり、見る者を感動させる選手だと思います」
そんな亀田氏が甲乙つけ難いと評した、辰𠮷𠀋一郎を3位に選出した。
「大場さんもそうでしたが、辰𠮷さんも魅せるボクシングができる人。プロとして一番大切なことです。今も根強いファンがいますし、私も、とても尊敬していますよ」(前同)
43歳になった今も「チャンピオンを目指す」と発言している“浪速のジョー”には、先輩ボクサーたちも「目のケガがなければ、もっと防衛できた」と太鼓判を押す。
「粗いボクシングではあったから、ガードが甘く、よくパンチをもらってたけど、それが人気の理由でもあったでしょ。
体の柔らかさ、リズムなどは天才的だったし、パンチも左のジャブなんかは井上尚弥よりも早かったんじゃないかな」(具志堅氏)
その井上超えの左を持つ男をしのいで2位に選ばれたのは、往年の名選手、ファイティング原田だ。
「時代が違うから一概には言えないけど」と前置きしたうえで、彼こそ最強だと言うのは亀田氏。
「原田さんは最強だと思う。団体も分かれていない時代だし、階級の数は今の半分以下。
それでいて今より3ラウンド多い、15ラウンド制。グローブは軽い。これで戦えるボクサー、今、いますか? という意味でも超えられない殿堂入りボクサーですね」
厳しい時代を生き抜いたボクサーの最大の魅力は、やはりスタミナ面にあるようで、
「1ラウンドから最後まで休まず連打する、あのスタミナはすごい。今の選手にはいない。
若い子たちには、12ラウンド戦った後に笑える元気があるならファイトしなさいって、言ってやりたいよ」(具志堅氏)
もはや伝説レベルの原田だが、それすらもしのぐ選手がいた。
「1位の彼は誰がどう考えてもそうでしょう」(畑山氏)
「今の時代のルールなら彼が圧倒的」(亀田氏)
現役選手に対する物足りなさを語る具志堅氏でさえ、
「やっぱり1位は井上しかいないよ」そう語るほど、圧倒的な1位に選ばれたのは“現役最強”の井上尚弥だった。