ファン目線で予想すると

 最後にボクシング観戦歴34年、元お笑いコンビ『ラヴドライブ』のメンバーで、ボクシング情報サイト『ボクシングモバイル』の編集長を務める、やすおかだいご氏に、ファン目線で予想してもらった。

「井上が負けるのは考えにくい。ネリは結構危険だと思うが、1ラウンドか2ラウンドで倒されてしまうかもしれない。井上が右か左のボディブローで決めると思う。ネリは唯一の敗戦も、ボディ一撃で立ち上がれなかった。ああいう姿を見せるボクサーは、強くないのかなと思う」

 予想は井上勝利が圧倒的。だが、34年前の東京ドーム決戦では番狂わせもあった。

「最強といわれたマイク・タイソンがジェームス・ダグラスに敗北を喫しましたた。東京ドームには魔物がいるので、井上も油断はできません」(スポーツ紙ボクシング担当記者)

 心配する外野の声にも、井上は「毎度、そんな予想を立てられながら試合をしているので、会場関係なく、いつも通りの気持ちで臨むだけ」と話している。

 モンスターの悪童退治が、目前に迫ってきた。

夢の対戦が誌上で実現「井上尚弥vsマイクタイソン」

 34年前に東京ドームで戦ったマイク・タイソンと、現在の井上が戦えば、どうなるのだろうか。2人は時代も階級も大きく違うが、井上には、そんな想像を掻き立てるほどの可能性を感じる。ともに全盛期のコンディションで、身長と体重が同じであると仮定して、ドリームマッチを想定してみよう。

 まずは2人のスタイル。ヘビー級では小柄であったタイソンはガードが下がらないようにグローブの親指を噛むように固め、上体を前後左右に動かしながら素早く懐に飛び込んで、丸太のような太い腕で強打を繰り出す。パンチを避ける目と体の動きも素晴らしい。首も頭と同じぐらい太く、打たれ強い。

 井上のスタイルを説明するのは難しい。すべてが特徴と言えるほど高いレベルにあるからだ。あえて言えば、自ら攻撃を仕掛けてパワーでねじ伏せるタイソンに対して、井上はパワーもあるが、タイミングよくカウンターを合わせて相手を倒すタイプということか。

 そう考えると、2人の戦いは、鋭く踏み込むタイソンに井上がカウンターを合わせられるかがカギになるのではないか。タイソンが一発でも強打をヒットさせれば、一気に連打で仕留めてしまうだろう。だが、井上ならばタイソンが懐に飛び込んでパンチを放つ一瞬のスキに、カウンターを通すこともできるのではないか、そうなれば、タイソンの勢いも重なってパンチの威力は増し、勝負は一撃で決まるかもしれない。どちらが勝利するにしろ、スリリングな展開、衝撃的な結末になるだろう。

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