「ジョー」と呼ばれたボクサー青木勝利という男

 スポーツ漫画の金字塔『あしたのジョー』には、主人公・矢吹丈(ジョー)のモデルになったボクサーがいた。“メガトンパンチ”と恐れられたボクサー・青木勝利。その人生は、まさに劇画のごとく波乱万丈だった。

ファイティング原田、海老原博幸と並び“三羽ガラス”

 戦績は29戦19勝(12KO)7敗3分。ファイティング原田、海老原博幸と並び“三羽ガラス”と呼ばれた男はもともと、手のつけられない不良少年。お金を稼ぐために、ボクシングを始め、若くして東洋チャンピオンに輝く。しかし極度の練習嫌いや、アルコール依存で戦績を伸ばせずに燃え尽きた。それからの生活は荒れ、暴行・窃盗・器物損壊・詐欺・薬物所持で逮捕歴20回、前科は7犯に及ぶ。

 しかし、彼と拳を交わしたものは口をそろえて「彼は優しすぎる」と語る。飲酒についても、試合前の恐怖心を抑えるためだったという。

 明日が見えない恐怖を拳一つで乗り越えようとした心優しいボクサーだった。

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