なぜなら、この受給額には「加給年金」という名の家族手当分が含まれており、一人暮らしを基本に考えると、実質、自分の取り分は半減する。「第2号・65歳・月収45万円」のモデルでも、自分の取り分は11万円弱となるのだ(なお、「国民年金」は夫婦別々に支払うものなので、6万2000円の満額受給が前提)。

 ちなみに、総務省が毎年出している「65歳以上の単身無職世帯の生活費」データ(15年)を見ると、その実収入は、1か月に11万5179円とされている。一方の支出は、どれくらいあるのか。同じデータを基にして、60歳以上の単身無職世帯の毎月かかる「生活費」の総額と、その内訳をまとめてみると、毎月必要なのは14万3826円。仮に80歳まで20年間生きるとしたら、必要な老後資金は約3452万円。80歳を超えて長生きすれば当然、それ以上かかる。年金が支給される65歳まで働くとして、80歳までの残りの15年、毎月の平均実収入と必要額を比較すると、その差額=不足分は平均3万円弱ということになる。

 もちろん、この数字はあくまで全平均で、「国民年金」のみを受給する人に限って言えば、14万3826円-6万2000円=8万円以上の不足なのだから、はるかに深刻だ。退職金や貯金がある人は、不足分を、そこから取り崩してしのいでいると推測されるが、両方を合わせてもとても足りない。

 前出の光嶋氏がアドバイスする。「第1号被保険者の場合、『国民年金基金』、それに『個人型確定拠出年金』に入るのも手です」

「国民年金基金」は、「国民年金」が強制加入であるのに対し任意。しかしながら、公的な個人年金という性格は「国民年金」と同じ「確定給付年金」で、運用結果に関わりなく、掛け金に応じて将来の決まった給付額が保障されている。

 7種類ある運用方法の、それぞれの詳細は省くが、もし35歳で加入し、毎月約1万5000円を60歳まで払っていたなら、65歳からの予想受給額は月に約2万5000円。これは大きい(加入していないケースは後述する)。

 これに対し、一方の「確定拠出年金」(以下DC)は、私的年金で、「個人型」と「企業型」がある。「個人型」は自分で商品を決め運用していかなければならず、また、運用の結果次第では元本割れのリスクもなくはない。

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