■夫婦喧嘩を肯定するなど…

「結婚して初めて、それまで味わえなかった心の安らぎを得られました」(昭和58年12月 50歳の誕生日の記者会見で)結婚25周年の銀婚式と50歳のお誕生日を迎えた陛下が家族について質問された際のご回答。

「(夫婦円満の秘訣は)やはり忠恕の気持ち、自分に常に忠実に、ということですね」(昭和58年12月 50歳の誕生日の記者会見で)出典は『論語』の「夫子(孔子のこと)の道は忠恕のみ」。美智子皇后に「努力賞」(という形で気持ちを伝えるなど、仲睦まじい関係を築いている。

「(夫婦喧嘩は)ないというわけではありませんね」(昭和58年12月 50歳の誕生日の記者会見で)「世紀のご成婚」と祝福された天皇と美智子皇后のご結婚。夫婦喧嘩を肯定するなど、普通の夫婦と何も変わりないことを明かしている。

「ストレスになるものを乗り越える以外にないのではないでしょうか」(昭和59年12月 51歳の誕生日の記者会見で)お酒をほとんど飲まない陛下に、ストレス解消法についての質問がされた際のご回答。

「人に迷惑をかけないという気持ちが、皆の視野にあれば非常にいいのではないかと」(昭和60年12月 52歳の誕生日の会見で)11月、陛下が車で移動する際、「市民に迷惑をかけたくない」というご配慮から信号待ちするようになった。皇族警備の質問に対するご回答。

「普通の日本人という経験がないので、何になりたいと考えたことは一度もありません」(昭和62年10月 米国人の特派員らを前に)米国ご訪問に先駆け、同国メディアを集めた会見で「皇室に生まれなかったら、どんな人生を送られたと思いますか」という質問へのご回答。

「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、国運の一層の進展と世界の平和、人類福祉の増進を切に希望してやみません」(平成元年1月 即位後の朝見の儀で)「大行天皇(昭和天皇)の崩御は、誠に哀痛の極みでありますが、日本国憲法及び皇室典範の定めるところにより、ここに、皇位を継承しました」とも述べた。

「いつも自然にしているというところが、とてもいいと思います」(平成2年12月 天皇陛下御即位祝賀記念式典後の会見で)美智子さまが健康法や美容法を尋ねられ、「あまり何もしていないので、もう少しかまったほうがいいと言われる」と発言したことに対する陛下の気持ち。

「真の友好は喜びと心の痛みを共に分け合うことによって確かなものになると思います」(平成3年12月 58歳の誕生日の記者会見で)戦時中、オランダ領インドネシアで日本軍の捕虜として収監された元兵士の間で日本への反発が強い中、オランダの女王、皇太子が来日していたことを受けて。

「我が国が長寿社会を迎え、高齢者が元気に社会に参加していることは、高齢化が進む今後の日本にとり、大変に心強い」(平成4年9月 全国老人クラブ連合会創立30周年に際して)日本社会の高齢化は“課題”として取り上げられることも多いが、天皇陛下自身は、年を重ねても国民が元気に活躍できる社会を歓迎している。

「日本がこのように発展することは、(終戦)当時、誰しも想像できなかったことと思います。国民が互いに協力し合い、たゆまぬ努力を重ねてきた」(平成5年12月 60歳の誕生日の記者会見で)還暦を迎えた陛下が、昭和から平成を振り返って最も印象に残った出来事を回顧。終戦後の日本を見た天皇にとって、奇跡の復興だったのである。

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