■佐藤楓の「わたしのわたし」

https://www.youtube.com/watch?v=bbaL6r-rXZ8
(※佐藤楓個人PV「わたしのわたし」予告編)

 一人暮らしをする漫画家の女性の家にいつしか存在するようになった佐藤。住人である漫画家には彼女の存在は見えていない。断片的に彼女の特徴を描写するシーンが並べられるものの、霊魂とも妖精ともつかない佐藤の立ち位置がはっきりと語られることはない。

 本作で佐藤が演じているのは、住人の一喜一憂に共鳴するような存在でもあり、また住人の頭の中にいる別の他者への思いが、いくぶん変則的に具現化したかのようでもある、淡くて複雑な何者かである。

 ここまでとりあげてきた作品は、無機物や架空の生物、霊的な存在などに、人間的な感情やふるまい、コミュニケーションの可能性を託すドラマ群だった。それに対して、佐藤が主演する「わたしのわたし」は、人間的な感情を持ったその「もの」が具体的に何であるのかさえ定かでなく、いわば受け手にゆだねられている。それだけに、描かれるドラマもまたシンプルでなく、いくつもの解釈の可能性が開かれている。

乃木坂46「個人PVという実験場」

あわせて読む:
・『お耳に合いましたら。』で初主演!伊藤万理華、個人PVや個展など乃木坂46時代に発揮された独自の個性
・衛藤美彩の個人PVで描かれた「コミュニケーションの壁」【乃木坂46「個人PVという実験場」第20回4/5
・伊藤万理華「なぜか気になる」不思議な存在感の秘密とは?
・映画にモデルに大活躍、西野七瀬「恋愛は愛する人に尽くすタイプ!?」
・芸能界引退!乃木坂46大園桃子が「涙」と共に歩んだアイドル人生と成長

  1. 1
  2. 2
  3. 3