ちなみに、「20」に見出すことができるのは、伊藤の過去作「まりっか’17」の再解釈だけではない。頃安祐良が手がけた過去のMVにもまた、「20」の萌芽をうかがうことができる。

https://www.youtube.com/watch?v=c5zj5vFOBoc
(※アイドルネッサンス「初恋」MV)

 頃安が2014年に監督した、当時ソニー・ミュージックアーティスツ所属のグループ・アイドルネッサンスの楽曲「初恋」MVは、やはり学校にロケーションをとったワンカット映像が特有の情感を生んでいる。

 とりわけ、校舎を背にした屋外から昇降口、階段、廊下そして教室へと歩んでゆく風景の展開に着目すると、そこには「20」の直接的なプロトタイプを思わせる共通性を見て取ることができよう。

 伊藤万理華×頃安祐良「20」は、伊藤自身の個人PV史のアップデートであるばかりでなく、頃安がアイドルを通じて描くイマジネーションの源流を垣間見せるものでもあった。

乃木坂46「個人PVという実験場」

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