やがて映像の位相が変わり、この映像作家が監督した(という設定の)「秋元真夏の個人PV」が始まる。ごくストレートに「アイドル・秋元真夏」の魅力を引き出そうと企図された(という設定の)この「秋元真夏の個人PV」では、丁寧にも彼女が「変に演技をしていない」ことがわざわざ謳われ、多くの人々がイメージするであろうアイドル的な振る舞いをする秋元が映し出される。

 もちろん、秋元がここで「演技をしていない」わけでは当然ない。しかし、「乃木坂46の秋元真夏」がナチュラルに表現されるこの映像中で、彼女が演じる「秋元真夏」とはどのような水準にいる人物なのか、その答えはシンプルではない。入り組んだ構造の妙を感じさせる山田篤宏らしいこの個人PVは、アイドルの虚と実の狭間を遊んでみせるような、独特のタッチの作品になった。

乃木坂46「個人PVという実験場」

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